過重労働でお困りの方へ

過度な労働は、労働者の疲労や心理的負荷等を蓄積させ心身の健康を損なう危険があります

過労死について

過労死を巡るリーディングケースとなったいわゆる電通事件にも与え、うつ病を発症させることも分かっています。うつ病は自殺願望を伴うことが非常に多く、発作的に自殺を図ってしまうことも決して少なくありません。過労死として労災に認定されているだけでも毎年1000名を超えており(脳心疾患とうつ病による自殺を合わせて)、過労と精神障害の問題は他人事として済ませることはできなくなっています。したがって、過度な労働は絶対に避けるべきですが、不幸にも過労により心身の健康を損なってしまったときはどうすべきかご説明したいと思います。

労災申請をしよう

過度な労働により心身を害した場合には、労災から補償を受けることができます。治療費や休業補償(8割)、障害年金、お亡くなりになった場合には遺族に遺族年金
が支払われることになっており、一定の経済的補償を受けることができます。ですので、必ず申請することにしましょう。また、会社への損害賠償という観点からも、労災申請は非常にメリットがあります。

労災申請を行えば、労基署が調査してくれますし、会社も素直に調査に応じてくれる傾向にあります。その結果として労災と認定されれば、ほとんどの場合、会社への損害賠償請求が認められる傾向にあります。

過重な業務か否かは、労働時間を基準に勤務体制や作業環境、業務内容(精神的緊張を伴うものか)などを踏まえて判断することになっています。

(1)脳心疾患の発症

脳出血、くも膜下出血、脳こうそく、狭心症、心筋梗塞などただしそのほかの疾病でも認められる可能性あり

(2)業務による明らかな過重負荷
 ①異常な出来事
発症直前から前日までの間において、発症状態を時間的及び場所的に明確にし得る「異常な出来事」に遭遇したこと
 
ex 業務上の問題で警察から何日にもわたり取調べを受けた。
 
 ②短期間の過重負荷
発症前おおむね1週間に日常業務に比較して特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせる業務に従事したこと
 
 ③長期間の過重負荷
発症前おおむね6ヶ月間に著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に従事したこと
 
ex 長時間労働(1ヶ月に100時間以上、または2ヶ月から6ヶ月間に80時間以上の時間外労働時間)

発症した精神障害が労災認定されるためには、その発病が業務による強いストレスによるものであると認められる必要があります。
強いストレスか否かは、「業務による心理的負荷評価表」にあてはめて判断することになります。

(1)対象疾病を発病していること
うつ病等

(2)対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

(3)業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発症したとは認められないこと

例えば、業務中に重大な人身事故を起こし、その事後対応にも相当なストレスが伴った場合には「強」となり、それだけで強い心理的負荷があったと判断される。また、悲惨な事故の目撃は「中」と評価され、それだけでは認められないが、その後1ヶ月100時間を超えるような時間外労働を行った場合には総合評価として「強」と判断される。