労働災害申請手続きについて
労基署に労災保険の給付申請があると、被災労働者と会社の双方に申述書を渡して、発症に至る経緯を詳細に説明するように求めてきます。
労災認定はあくまでも書面審査が基本ですので、この申述書の記載が決定的に重要なものとなってきます。申述書にご自身のつらい思いをした事実をただ書き連ねるのではなく、評価基準表を参照しながら、「業務の過重性」や「強い心理的負荷」があったと認定されるように工夫して作成する必要があるのです。
この作業は非常に大変ですので、ただでさえ労災でしんどい思いをされているときにご自身だけで行うのではなく、専門家に協力を仰ぐべきです。
他方、会社も、発症に至る経緯(勤務体制、業務内容、時間外労働時間など)を説明する必要があります。今のところ、会社は特に警戒することなく協力的に記載してくれることが非常に多いように思います。ただし、後述するように過労や業務による精神疾患が労災と認定されると会社は賠償義務を負う場合がほとんどです。労災認定後に会社に損害賠償請求を行うと、手のひらを返したように「業務の過重性」や「強い心理的負荷」を否定してきます。しかしながら、時すでに遅しで、会社側が自分で記載した申述書の内容を覆すことはほとんど不可能で、結果として賠償義務が認められてしまうことになります。